バジルと糸巻きの話

夕飯は白ワインとジェノベーゼパスタでした。バジルペーストの瓶を絶対に切らさないようにしている。トイレットペーパーは容易に買い忘れて慌てるのに、なんだろうねこの差は。

今冷蔵庫で待機している瓶はかなりバジル一辺倒って感じのやつで、その他の物は一切なく本気で挑まれてる感じがする。食べた後、バジルが喉をかけぬけていったな、て思う。

 

食後いろんなことが悲しくてうずくまっていたら、クラシックのあるフレーズがふと頭を離れなくなった。まあまあ夜だしとためらったが、勝てず、バイオリンを取り出した。窓は二重だし少しなら大丈夫かな。

調律から始める、だいぶ弾いてなかった。ペグボックスの中の弦を見ると、1つだけ巻きがいびつな弦があった。「あ、お父さん」て思った。

わたしは弦の張替えをするのが本当に苦手。だって弦を張るときのぐるぐるが頑張っても綺麗に巻けない。小さいときはいつも父が変えてくれていた。大きくなってからは、父、まれにわたし。父は器用。

いつか全て自分で巻くことになるんだろうか、糸巻を見るたびに父を思い出すんだろうか。さっきまで、主人公(50代女性)が父を亡くした出来事の回想シーンを読んでいたからこんなこと思ったのかな。そうだろうね。

調律をしてワンフレーズだけ弾いて満足してケースにしまった。来週実家に帰ろう。