グレーのかごと異端

試験の後はお腹がすいてすいて仕方ない。いつも同じ量の朝ごはんを食べているのにどうしてだろう。問題文を読みながら、これだけやっても満点ってとれないものだなと思う、まだまだということなんでしょう。フンス!と気合が入るような、途方に暮れるような。

 

試験に向かう行きしなに、olive des oliveと書かれた赤い自転車に目が止まった。後ろにグレーのカゴが無理やりくくりつけられている。どういうこと?ギャップにやられてしげしげと覗き込む。可愛い赤い自転車とボロボロのグレーの買い物かご。買い物かごを持ち出すのってこれに使うためだったのか。スーパーでたまに見かける注意喚起の張り紙を思い起こす。店名のところにはボロボロのガムテープが貼ってあり、下の一部分だけ力強くはがれていた。あらい繊維をのこして。

 

試験の3分前に着くようにしているのだけれど、いつも着席するのが学年で一番遅くて、今更ながらすこし恥ずかしくなってきた。友人たちには「試験直前にドアが開いた瞬間、顔を上げずともわたしだとわかったよ」「もし試験来られなかったらどうしようと心配してたよ」と口々に言われた。照れちゃう・・・。あと心配かけてすみません・・・。

 

試験直前の過ごし方が異端だということに長い学生生活の最後にようやく気づく。試験前のそわそわざわざわ緊張した空気があまり得意ではないのです。家で普段通り朝ごはんを食べ、時には洗濯を干し、コーヒーをお供に1編なにか読む。この流れがないとなかなか落ち着かない。7時とかに学校に着き一勉強してから試験会場に移動する同級生が多いみたい。わたしの場合は瞬発力がなく、直前の詰込みが点数に直結しない。たくさんの試験からこのことを学んだため、このスタイルに落ち着いた。

 

昨日一緒にお昼を食べた友人は最近は25時間起きてぶっ続けで勉強し、その後15時間眠るサイクルで生活しているそうだ。道理でラインしても返事が謎の時間に返ってくると思った。今日はこのまま起き続け明日を迎えるらしい、長い一日だねとクスクス笑う。タフでマイペースでガッツがある女の子。もともと先輩だったのだけれど、留年して降りてきて同級生になった。最初は敬語で話していたけれど、気が合い大好きになっていつのまにか敬語はなくなった。しばらく会わない期間があるとつい敬語で話しかけてしまい、敬語に戻ってる・・とショックを受けた顔をされる。なんてかわいい人。

 

一度帰宅しお昼ご飯を食べて秋の風と日差しの中でお昼寝をする。幸福にくるまれて、このために試験を受け続けているのかなとまでぼんやりとした頭で考える。まあ卒業するためですが・・・・。そういえば、試験の後は睡眠時間もいつもと同じでもやたら眠たい。食欲と同じだ。のびをして今日の分の復習を軽くすませる。かなり面倒くさいけど、でも、一番知識が多いはずの状態で落とした問題を把握するのはトータルの効率を考えても大事かなと思ってこらえる。次の教科の勉強をはじめよう。今日はあまり遅くまで根をつめすぎずに帰宅して、父母に電話をしようかな。