ラーメンと矛盾

鍋から直接なにかを食べたことがある?わたしはまだない。

 

少し前に友人が彼女が鍋からインスタントラーメンを食べる様子をインスタグラムに投稿していた。かなりびっくりして二度見した。話には聞いたことがあったけれど、こんな感じなのか。都市伝説みたいなものだと思っていた。 

ちょっと思うところがあったので、わたしもやってみようかなとラーメンを買いに行った。ねぎを切って卵をゆでて、麺をゆでて、スープをあたためて、おいしくできた。ラーメンっておいしいなと思いながら食べていたら、鍋から食べようと思ったことなどすっかり忘れていて、器によそってしまっていた。ちょっとがっかりした。そして悲しくなった。

 

その友人と先日ちょっとしたことで軽い口論になっていて、売り言葉に買い言葉で「だからお前はひとりなんだよ」と言われたことが気にかかっていた。そしてたぶん、その後に、ずっと。と続けようとして、理性が勝ったらしく口をつぐんでいた。

わたしが、素直じゃなくて、例えば鍋からラーメンを食べることをためらってしまうような人物だから、こうなの?ずっとわたしのことをそう思っているの?この解釈であっている?好きな人とうまくいかなかったことも、昼夜をとわず涙ぐんでいた時期があったことも彼は知らないけれど、なにもかも見透かされているような気がした。生きるのが上手くて野生の感が研ぎ澄まされていて、人間のことをよく見ている人。

 

どいつもこいつもインスタグラムで匂わせ投稿ばかりしやがって、と言っていたその友人は、彼女ができた途端に「匂わせ投稿」をするようになった。人間だなあと思う。臆面もなく自分が先日発言していた事柄と逆行した行動が取れる。それが彼の魅力でもあるのだろう。物事はきっとバランス。彼を通して常々そう感じている。