影の水かき

冬への支度をしている。加湿器を出してタオルケットを洗濯して、新しく毛布を出す。

 

昼間の空気はぼんやりと暖かくて輪郭がはっきりしない。密度を決めるのは温度なのか。

学校に行く途中、歩いている自分の影が冬仕様になっていた。

手のひらの影を見て、指と指の間に水かきみたいなのがあるのに気づいて楽しくなって指を開く閉じる開く閉じる。外転内転外転内転。

直接見た手のひらは水かきに見えないのに、影を見たら水かきみたいなの。直接に見るものとその影が違って見えることはよくある、のかも。

 

疾走して私を追い抜いて行ったはずの学生服の中学生が、こちらを怪訝そうに見ていた。若い男の人が左のお尻を押さえながら自転車で通り過ぎて行った。左のお尻、痛いのかな。

 

学校に着くと入口にミミズがいた。わたしの人差し指4本分くらいの体長だったよ。つるつるしてた。